アライメント
運動のセオリーとして力は直線的に体を通って効率的に伝わります。
スキーににおいても滑走面に対する垂直の荷重が前提ですが、体の重みを下肢(脚部)が直線的に足裏に伝えること、反対に言えば直線の軸で体を支えていることが大切です。このことを下肢アライメントといい、体を正面(前額面)から見て股間節(大腿骨頭中心)の中心から踵骨中心を結ぶ線を下肢機能軸といいこの線上に膝関節の中心がある状態が下肢アライメントの取れた健康な脚部です。直線的な力(重み)の伝達が可能になります。
画像左の右脚は股関節から踵骨までのライン1(下肢機能軸)に膝関節が位置しています。ほぼアライメントのとれた状態です。それに比べて左足はライン2から膝関節が外側にずれています。股関節と踵骨と膝関節に黒い線を引くとよくわかります。
膝関節の内側(内側)の半月板、軟骨の摩耗による内側型変形性膝関節症です。原因は肥満、筋力不足、加齢による軟骨等の老化などがあります。この方はスキーで前十字靭帯断裂で左膝を手術しており正座ができず階段の昇降も痛みがあります。膝関節に変形が起こるとそれに伴い足関節にも変位が起こります。画像のように膝関節が外側に変位すると多くは足関節に内反(足裏が内側に向く)し小指側に荷重が偏り益々膝関節の内側に負担が偏ります。スキーにおいては伸展の際親指側への荷重の調整のため横方向の運動が必要になり自然に伸展した軸で立つことが難しくなります。屈曲の際も膝の位置を横方向に調整しながらになり脚部に不必要なひねりを伴いやすくなります。このアライメントの狂いが歩いても滑っていてもすぐ疲れる原因になります。
右の画像は同じ方のスキーブーツを履いての状態です。調整したインソールで足関節の内反を矯正し荷重の調整をしています。そのうえでブーツシェル加工でアライメントを取っています。両画像で立ち方(踵の位置)が違うのですがアライメントが改善されていつのがおわかりいただけると思います。調整前に比べて格段楽になり長い時間滑ることができるようになっています。この股関節の幅に立つことがスキーでのナチュラルスタンスの基準です。
現在の回転性能の高いスキーにおいては脚部の廻旋を少なくすることが関節への負担を少なくし疲れにくいスキーにつながります。
また、日常生活においても同じことが言えます。。
ご自分の体が気になる方、興味のある方お気軽にご相談ください。